「いない、なー… あの人、時間にはちゃんと来る人なのに…。」
がいるのは泥門高校近くの川原。
何故彼女がここにいるのかというと、その発端は20分ほど前にさかのぼる。
「コートも着たし、プレゼントも持ったし、よし。」
今日はセナの誕生日。 今からは、セナにプレゼントを渡しに彼の家に行くのだ。
いろいろ確認して、部屋のドアノブに手をかけたところ、ケータイがなった。
「? 誰からだろ?」
メールを開くと最初に目に入ったのは、『YA―HA―!』と書かれた大きな文字。
「あ、ヒル魔さんからか。 …って私アドレス教えたっけ!?
しかもグッドタイミング! あれ? グッドなの?」
まあ、あの人のことだ、との驚きはすぐにどこかにいった。
『今日泥門でクソチビのバースデーパーティーをやる。 16:00に泥門近くの川原へ来い。』
「…私に拒否権はないんですか…。」
メールを読んだ直後の感想はこれだった。
川原なのは、泥門へ行く道の途中にあるからだからだろう。
「……私が絶対行くとわかってるからか…。」
とりあえず、行くことをメールで伝えた。
それなこんなで今川原にいるのだが、呼び出した本人はなかなか来ない。
立っているのもあれなので、は歩道から川原に下りる階段に腰掛ける。
しばらく橙色に染まった空を見ていると、
「ちゃん?」
後ろから声がした。 しかし、その声の主は待っていた相手ではなかった。
「セナ君! こんにちは。」
振り向くと、今日会おうと思っていた相手。
「セナ君も、ヒル魔さんにここに呼ばれたの?」
「うん、ちゃんも?」
「そう、急に呼び出されて…。」
二人は苦笑する。
セナはの隣に座る。
待っている間、二人はいろいろな話をした。
日常のこと、最近のチームの様子、メンバーのこと。
ネタがなくなってきて、がケータイの時計を見てみれば、もう16時半を過ぎていた。
「ヒル魔さん、遅いね…」
「一体何の用なんだろう…」
え、知らないの、と言いかけそうになる。
セナも蛭魔に呼ばれたと聞いて、すっかり誕生日パーティーのことでかと思っていたが、
セナには知らされてないのか、と気付いた。
「(言っていい、よね…?) セナ君、今日何日?」
「えっと、12月の21日… あ」
は、ふふ、と笑ってから、持ってきたプレゼントをセナに差し出す。
「ハッピーバースデー、セナ!」
「あ、ありがとう」
セナは微笑んだ。
――――――――Happy Birthday, Sena! 英語に合わせて呼び捨て挑戦!
・・ 後書き ・
ギリギリ21日UP…!とか思ったら22日0時過ぎ…orz
セナ誕生日、初セナ夢です。(いろいろ変更したため、予定とは川原とセナしか共通点無い…!(汗)
ヒロインの(言っていい、よね…?)は誕生日のことでも、呼び捨てのことでもどちらでもとれるなーと今更。
ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!
2007 / 12 / 22
↓におまけ。 蛭魔さん落ち(?)
「さてと! 行こうか。」
「え、どこに?」
立ち上がったを見て、セナは聞く。
「泥門こう」
セナが「あ」と言ったのと、の口が後ろから来た誰かの手によって押さえられたのは同時だった。
「ヒル魔さん! (いつの間に!?)」
「余計なこと話すな進妹。」
と蛭魔はの口を押さえていた手を離す。
は振り返り、呼び出したのに何分も遅く来た人を見る。
「ヒル魔さんが来るのが遅いからいけないのですよ―――って、降ろしてください! 自分で歩けますので…!」
「行くぞ、クソチビ。」
蛭魔は、彼にお姫様抱っこをされて騒ぐを無視して、セナに呼びかける。
「は、はい!」