「はあ…。」
ナーガとの戦いが終わって約3ヶ月。
はいつもの公園のベンチのベンチに座り、本を読んでいたが、
本を閉じ、目の前にあるいつもと変わらず水を出し続けている噴水を見た。
最近、どうも読書が進まない。
マスカレード
何故かいつも浮かぶ彼の名前。
マスカレードは、アリスがサイレントコアのマイナスパワーの影響を受けた時にできた、もう1つの人格。
でも彼の人格は消えてしまった…つまり『マスカレード』はいないのだ。
「マスカレード…」
もう来るはずがないのに。
あの時みたいに返事をしてくれるんじゃないかとつぶやいてみる。
「……………………。」
聞こえたのは、風がゆらす木の葉のざわめきだけだった。
「…い。 オイ、。」
「………?」
彼が自分を呼んでいる声がした…気がした。
夢にまで彼が出てくるなんて、とそんな自分にあきれる。
「まったく。 またお前はここで寝ていたのか?」
今度ははっきりと聞こえた。 夢、じゃない?
目をうっすらと開けば、目の前に立つ影が見えた。
「……マスカレード…?!」
驚いて顔をあげる。
まさか。 いないはずの彼がここに。
「あ……」
目の前に立っていたのは、丈の長い上着に紺の長ズボンの、金髪の少年だった。
――――― あの仮面は、 無い 。
「オレの人格は確かにアリスからは消えた。
しかし、完全にこの世から消えたという根拠は何処にあるというんだ? だいたい……」
わかる。 彼だってこと。
その哲学的な語り方、態度、雰囲気…全て彼のものだって。
「もう人格だけのオレじゃない。 オレはオレだ」
もう会えないと思っていた彼が、今、目の前にいる。
だんだんと視界がにじんできて、涙と共に今まで気づかなかった気持ちが溢れてきた。
「マスカレード!」
「なん… っ!」
は、前で微笑んでいるマスカレードに抱きついた。
「マスカレード、私、ずっと前からあなたのことが好きみたい。」
アサギの行動と言葉に驚き一瞬固まった彼だったが、すぐにを優しく抱きしめた。
「…フッ、遅すぎるぞ。 ………オレもお前が好きだ。」
―――――――― やっと 気づけた。 伝えられた。 お互いの気持ち。
・・ 後書き ・
最終回近くに思いついて、やっと今、UPにもってこれました;; ほとんどがヒロイン視点です。
なんか管理人としては「人格」が消えるというものとなると納得いかないことが多いです。
どうしても、どこかにちゃんと人となって存在しているような想像をしてしまって(苦笑)
だから、ちょっとは最終回に期待してみたりしていたのですが…「もう現れない」と言われてしまいました…(苦笑/泣)
なのでこんなその後な話。 マスさんには存在していてほしいな、と。
(あと、仮面のない、アリスではなくマスカレードそのままも見てみたかったです、実は。 って設定上無理でしたが(笑)
ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!
2008 / 9 / 23