「さーん!!」
「きゃあ!!」
突然後ろから抱きつかれたは前に転びそうになった。
手に持っていた何十枚という資料が床に散らばる。
「ああっ!資料が!」
私は抱きついてきた彼には目もくれず、資料を集めにかかった。
何故って、そんなことする人、あの人に決まってる。
「もうっ!順番にしておいたのに、また並べなおしだわ!!」
そういって、集め終わると溜息をついた。
「あ、あの・・さん?」
「何?」
最近は上から(変態司令塔)の依頼が多すぎて残業三昧なはイライラしながら後ろを振り向いた。
「えっ、あ、あの・・ごめんなさい。」
ロランは申し訳なさそうに頭を下げる。
はロランに怒鳴りかけた。
「いい加減にして。この間も言ったはずよ、後ろからいきなり抱きつかないでって。あ~・・・もう!貴方のせいで二度手間よ!」
「ご、ごめんなさい!これからは気をつけます。本当にごめんなさい!」
ロランはさらに深く頭を下げた。
「もう、良いわよ別に。」
は資料を軽く整え始めた。
「で、何の用?」
そういうと、ロランはあっと言って一気に頭を上げた。
「あのですね、アップルパイを焼いたんです!!で、一人じゃ食べきらないんでさんに食べてもらおうと思って!!」
ニコニコしながらロランが言う。
「・・・アンタ、本当に反省してんの?てか、私忙しいから無理。」
冷ややかにが言うと、今度は少しなみだ目になる。
「そ、そんな!酷いですよ、さん!私も仕事、手伝うので食べてくださいよぅ・・・。」
「別に私じゃなくてもいいでしょ!キャンディスとか、そこら辺に食べてもらえば?私忙しいの。
手伝ってもらいたくないし。これからファントムのところに行かなくちゃ行けないし・・・。」
はそういって歩き出した。
「さんに食べてもらいたいんです!ちょっとでいいんで、私の部屋によって下さい。」
「アンタの部屋、遠いでしょ!もういい加減にして。忙しいの。」
は髪の毛を掻き毟った。
「・・私、引越ししたんです。」
「ふーん。・・・・・えっ!」
はロランを見た。
「そ、そんな事聞いてないよ!で、どこに引っ越したの?」
と言うと、ロランはにっこり笑いの真横の扉を指差した。
「ここです。」
「・・・・。嘘つかないで。」
「本当ですよ、ほら!」
そういってロランは扉を開けた。
そこにはアップルパイの匂いが広がった部屋があった。
「・・・。」
は言葉を失った。
「ね、本当でしょ?」
ロランはの手を取り、中へ誘導した。
「ここなら、近いですよね。だからお願いです・・・。」
は困ったが、もう何を言ってもダメだと思い、承諾した。
「分かった、いいわ。でも本当に少しだけね?」
そういってはテーブルの前に座り込んだ。
ロランは嬉しそうにキッチンへ向かった。
数分後・・・。
ロランは自分と分のふた切れのアップルパイを持ってきた。
「ありがと。」
はそういうとロランからアップルパイが一つのった皿をもらった。
そしてそれを小さく区切って口へ入れた。
食べた瞬間、口に甘い感覚が広がった。
「・・・おいしい・・。」
「本当ですか!」
ロランの顔がにっこりと微笑む。
「良かったぁ・・・。」
はそんなロランを無視して食べ続けた。
それを見てロランも食べ始める。
どのくらい時が経っただろうか。
はアップルパイを食べ終わろうとしていた。
そして皿を机の上に置くと、ごちそう様といって立とうとした。
「じゃ、私行くから。」
「えっ!」
ロランはビックリした顔をした。
「もう少しいてください。」
「はぁ!?アンタ最初の約束と違うし。大体私忙しいし。」
それを聞いてロランは少し悲しそうな顔をしたが、すぐに笑顔に直した。
「そうですよね、わかりました。でも・・・仕事が終ったら又来てください。・・暇だったら、でいいんで。」
は溜息をつくともしかしたらね、と言って部屋を出て行った。
「・・・。」
ロランは一人残された部屋で嬉しそうに笑った。
「いいんですよ、こうやってずっと居れれば。」
そう、思いを伝えなくてもそばに居れれば、それでいい。
ロランはそう思い、にっこりと笑って皿を片付け始めた。
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ミドリさんからお礼に頂きましたロラン夢です。
こ、こんなにたくさん頂いていいのやら…!><;(オロオロ)
最初のロランのかわいさに瞬殺されました(ぇ
ああもうこんなかわいい人が隣にいたら仕事はかどりそうです!
あ、でも逆効果で進まないこともあるかもしれない…(笑)
ではでは、素敵な夢、ありがとうございました!