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放課後の帰り道。 帰りはいつも通りのメンバー…ギンタ、小雪、アキラで帰っている。

「それで? 今日はどんな夢見てたんだ?」

アキラがギンタにきく。

「ん? いつもと同じさ!! おとぎの国! メルヘンの国!!
 平和な世界に魔王が現れて姫をさらう! オレは魔王と戦う!姫様を助ける!!
 もうちょい夢見てれば魔王倒せたよ!」

脹れるギンタ。

「ね、ね。 お姫様ってどんなコなの? 私よりカワイイ?」

小雪が話に入ってくる。
きかれたギンタはというと…顔を赤くしている。

(どうやら、姫は小雪だったみたいだね…)

だいたい想像がついたアキラは、心の中で苦笑する。

「お前よか100倍かわいい! いや1000倍!」

ごまかすギンタ。

「ひど~~い」



「……でもさ…オレ数えてんだ。102回!同じ夢さ。
 緑…山…川、おかしの家にしゃべる木。 三本の首がある鳥だっている。
 小人や妖精も住んでいて―――― 色やにおいまで思い出せる!」

「ね、ね! チョウチョはしゃべる?!」

「チョウか! チョウは話さない! 話すのは花の方だ!
 そういや、アキラもこういう夢をよく見るんだよな?」

「うん。 僕の夢も、ギンタと同じ。 でも…」

「でも?」

小雪が首をかしげて聞く。

「僕の夢には、一人の男の子が出てくる。 何故だか僕を懐かしそうな目で見るんだ…」

アキラのも、不思議な夢だなー
 …でも、そんな夢みたいな世界があったら……オレ…一回だけでいい! 行きたいよ!!」

「そだねっ! 行けるよ!!」

「そうだな」

「ホントか? 小雪とアキラだけだ、この話して笑わないの」

「だって! UFOやユーレイだっているかもでしょ?!
 でもその前にっ… たくさん食べて強くなろうよ! じゃなきゃその世界でも大変だよっ!!」

そして、小雪はギンタに板チョコ渡し、自分の家の方向へ走って行った。
ギンタの顔はまた少し赤くなっていた。



「メルヘンの国イ? んなモンねえよバカ」

帰宅して今は夕食の時間。 ギンタのお母さん(ギンタママ)はしゃもじを持って言う。

「102回も同じ夢だぞっ おかしくないかよ!!?」

「ハイハイハ――イ。 おかしいのは君のアタマ!」

「あの…僕も見てますよ…?」

「…………」

すると、ギンタママは一瞬黙ってしまった。
そして、それはなかったかのように、またギンタを叱り始めた。

「また矢沢先生から電話かかってきたんだよ!
 『おたくの息子、寝てばっか』って… よく寝る上に起きてても夢見てるからタチ悪いよ!!」

「息子の夢完全否定して楽しいかーっ!! 母ちゃん童話作家だろがーっ!!」

ギンタが机をバーンと叩く。
それに続くように、ギンタママもドーンと机を叩く。

「作家でもおとぎの国は信じとらん!!
 あんた達のゴハンやエンピツの為に働いとるんじゃあ――っ!!」

「…………」

いつものことだ。 アキラは一人、この大騒ぎの中で黙々と夕飯を食べる。

「チクショウっ グレるぞ!!!」

「ドロップアウトすんなら体力つけなバカ!!」

こうして親子の決着は着いた。



夕食が終わり、アキラはギンタママの食器洗いを手伝っている。

「毎回ごめんね。ギンタを叱る時に巻き込んじゃって…」

「いいですよ。 あと、もう慣れましたから」

ははは…とアキラは笑う。
ふと、ギンタママは食器を洗う手を止めた。

「あなたがこの家に来てから6年経つのね…」

「そう、ですね。」

「私が見つけた時、その前の記憶がなかったのよね…」

「そうでしたね。 でも、癖とか大事なことは覚えてたみたいですし」

「”知らない人の前では、男の子のふりをしろ”とか?
 それは、女の子だとわかると、いろいろ危ないことあるしね…」

「でもギンタママにはすぐばれちゃいましたけど」

アキラは苦笑する。

「やっぱり、女の人は鋭いのかな…?」




アキラは本を読みながら、ベットの上に寝転がっていた。
もう夜中の12時過ぎだ。 そろそろ寝ようかと本を置いたとたん、あたりが真っ暗になる。

「…!?」

そして、見覚えのある少年が見えた。夢の中の少年だ。

  『直に……つながる………』

その言葉が聞こえた後、部屋はもとの部屋にもどっていた。

「今のは、一体…」



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2006 / 9月頃 UP
2008 / 3 / 28 ほんの少し修正