[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

次の日の学校。

「…ギンの字…」「アキラちゃん!」

男子達はギンタとアキラに声をかけている。

「どした?ユカイなツラして。」

ギンタは顎を机に乗せ、鼻水とよだれを少したらしてボーっとしている。
アキラもボーっとして前を見てる。

「おなかへってんの?」

すると、さっきまで無反応だったギンタがいきなり、

「聞いてよ! きのうさ!!」

と大きな声で言う。

「うんうん。 おねしょか? いかんぞ中学生で。」

しかし男子にそう言われ、ギンタはすねた。
アキラは相変わらずボーっと前を見ている。

「103回目の夢でも見たの? 聞かせて!」

小雪が笑顔で2人に話しかける。

「お、おう。 特別に教える!  (いるんだ)
 あのさ…   (信じてくれるコが――――)」

  『つながった!!!』

「昨日の声だ…!」

ギンタ、アキラを中心に、床に、目が十字で舌を出した顔のような魔方陣が現れる。
教室にいた生徒は「停電?!」とパニック状態だ。
すると、床に出た魔方陣と同じ顔のお化けらしきものが出てくる。

『トンネル――――カイツウで―――ス♪』

ある男子生徒が教室の外は普通だと言うと、全員急いで教室から出て行く。
小雪は腰が抜けてしまい、その場で座り込んでしまった。

「!!」

突然、ギンタが小雪をお姫様抱っこする。
ギンタはお化けが出てきた扉の方をまっすぐ見ている。
アキラもギンタの隣に立ち、ギンタと同じく扉を見ている。
2人とも、まるで信じられないものを見たかのように…いや、信じられないものを本当に見ていた。

「見ろよ小雪。 夢じゃなかったぞ!!! 夢に見た世界!! でも、これは―――」

「夢じゃない!!」

2人に見えていたもの…それは、夢で見てきた世界だった。

『………見えテル…みたいですネ?』

でも、小雪は。

「私…何も見えない。 見えるの? ギンタとアキラにだけその世界は見えてるの?」

と2人の言ってることが信じられないような顔で言う。

『ハイっ! ダイスの目は 2 デス! お二人様のみですネ!
 この世界が見えた! すなわちあなた達ハ…
 今の世界から逃げたかった、もしくは他世界の存在を強く信じていたのでショウ。
 だからあなた方の傍にトンネルがあいタ! お入りくだサイ!!』

教室の外では生徒達がギンタ達を呼び戻そうと、必死で叫んでいる。

「あの…私も行ってみたいの。 ダメ?」

小雪はおそるおそるお化けに尋ねる。

『ダイスの目は2……それ以上の人数が入るト……
 まねかざれる方の身に何が起こるかわかりませんヨ?』

その言葉を聞くと、ギンタは後ろを向き、教室のドアへと小雪を抱えて歩いていく。

(ギンタ…?)

化け物は、彼をじっと見ている。 ギンタはドアの近くまで行くと小雪を教室の外に出した。

「オレ行くよ。」
「ダメだ!! 誰かあいつらひっぱってこい!!」
「無理!! もうこっちからは入れない!!」
「あの化け物、異世界に入れとか言ってたぞ!」
「おわ―――っ!! そういやいつも夢の世界行きたいって言ってた!!」

男子生徒達は開いた教室のドアに張られた、バリアのようなものを叩きながら言う。

「へへっ! これもまだ夢の中なのかな?」

「でも…今行かなかったらきっともう、二度と、行けない気がするんだ」

「誰か矢沢先生つれてこい!!!」
「そうか! これはオレの夢なんだあ!! こんなアホな事あるわけねえ!!」

ポン、と手を叩き、自分の頬をつねった男子が「はやくおきろオレ」と呟いたのが小雪には聞こえた。
小雪は一回口をギュッと閉じてから、

「ズルイなあ…2人だけ… 約束っ。 後でたくさん聞かしてね!」

笑顔でいう。 少し悲しそうな、笑顔で。

(小雪、行ってくるよ)

(ワクワクが止まらねえ!! ずっと憧れていた外国よりも外の世界!!! この扉の向こうに!!!!)

2人が入った後、扉は閉まり、そこはもとの教室に戻っていた。

「ねっ! こーゆーの、本当に”夢が叶った”って言うのかな?」

小雪は皆に、さっきとは違う、嬉しそうな笑顔で言った。




パキィィィィン―――

少年の右手の人差し指にはまっていた指輪が割れた。

「あーあ! ディメンションARMが壊れちゃったあ」

彼と一緒にいた妖精は残念そうに言う。

「いいんだ。 これは呼び出しが成功したって事だからね。 異界の者が――― ここ に来る」

きっと、アキラも…

少年は、さっきまで指輪があった指をまだ見ていた。



NEXT / MAR夢TOPに戻る




2006年末 UP
2008 / 3 / 28 ほんの少し修正