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次の日の学校。
「…ギンの字…」「アキラちゃん!」
男子達はギンタとアキラに声をかけている。
「どした?ユカイなツラして。」
ギンタは顎を机に乗せ、鼻水とよだれを少したらしてボーっとしている。
アキラもボーっとして前を見てる。
「おなかへってんの?」
すると、さっきまで無反応だったギンタがいきなり、
「聞いてよ! きのうさ!!」
と大きな声で言う。
「うんうん。 おねしょか? いかんぞ中学生で。」
しかし男子にそう言われ、ギンタはすねた。
アキラは相変わらずボーっと前を見ている。
「103回目の夢でも見たの? 聞かせて!」
小雪が笑顔で2人に話しかける。
「お、おう。 特別に教える! (いるんだ)
あのさ… (信じてくれるコが――――)」
『つながった!!!』
「昨日の声だ…!」
ギンタ、アキラを中心に、床に、目が十字で舌を出した顔のような魔方陣が現れる。
教室にいた生徒は「停電?!」とパニック状態だ。
すると、床に出た魔方陣と同じ顔のお化けらしきものが出てくる。
『トンネル――――カイツウで―――ス♪』
ある男子生徒が教室の外は普通だと言うと、全員急いで教室から出て行く。
小雪は腰が抜けてしまい、その場で座り込んでしまった。
「!!」
突然、ギンタが小雪をお姫様抱っこする。
ギンタはお化けが出てきた扉の方をまっすぐ見ている。
アキラもギンタの隣に立ち、ギンタと同じく扉を見ている。
2人とも、まるで信じられないものを見たかのように…いや、信じられないものを本当に見ていた。
「見ろよ小雪。 夢じゃなかったぞ!!! 夢に見た世界!! でも、これは―――」
「夢じゃない!!」
2人に見えていたもの…それは、夢で見てきた世界だった。
『………見えテル…みたいですネ?』
でも、小雪は。
「私…何も見えない。 見えるの? ギンタとアキラにだけその世界は見えてるの?」
と2人の言ってることが信じられないような顔で言う。
『ハイっ! ダイスの目は 2 デス! お二人様のみですネ!
この世界が見えた! すなわちあなた達ハ…
今の世界から逃げたかった、もしくは他世界の存在を強く信じていたのでショウ。
だからあなた方の傍にトンネルがあいタ! お入りくだサイ!!』
教室の外では生徒達がギンタ達を呼び戻そうと、必死で叫んでいる。
「あの…私も行ってみたいの。 ダメ?」
小雪はおそるおそるお化けに尋ねる。
『ダイスの目は2……それ以上の人数が入るト……
まねかざれる方の身に何が起こるかわかりませんヨ?』
その言葉を聞くと、ギンタは後ろを向き、教室のドアへと小雪を抱えて歩いていく。
(ギンタ…?)
化け物は、彼をじっと見ている。 ギンタはドアの近くまで行くと小雪を教室の外に出した。
「オレ行くよ。」
「ダメだ!! 誰かあいつらひっぱってこい!!」
「無理!! もうこっちからは入れない!!」
「あの化け物、異世界に入れとか言ってたぞ!」
「おわ―――っ!! そういやいつも夢の世界行きたいって言ってた!!」
男子生徒達は開いた教室のドアに張られた、バリアのようなものを叩きながら言う。
「へへっ! これもまだ夢の中なのかな?」
「でも…今行かなかったらきっともう、二度と、行けない気がするんだ」
「誰か矢沢先生つれてこい!!!」
「そうか! これはオレの夢なんだあ!! こんなアホな事あるわけねえ!!」
ポン、と手を叩き、自分の頬をつねった男子が「はやくおきろオレ」と呟いたのが小雪には聞こえた。
小雪は一回口をギュッと閉じてから、
「ズルイなあ…2人だけ… 約束っ。 後でたくさん聞かしてね!」
笑顔でいう。 少し悲しそうな、笑顔で。
(小雪、行ってくるよ)
(ワクワクが止まらねえ!! ずっと憧れていた外国よりも外の世界!!! この扉の向こうに!!!!)
2人が入った後、扉は閉まり、そこはもとの教室に戻っていた。
「ねっ! こーゆーの、本当に”夢が叶った”って言うのかな?」
小雪は皆に、さっきとは違う、嬉しそうな笑顔で言った。
パキィィィィン―――
少年の右手の人差し指にはまっていた指輪が割れた。
「あーあ! ディメンションARMが壊れちゃったあ」
彼と一緒にいた妖精は残念そうに言う。
「いいんだ。 これは呼び出しが成功したって事だからね。 異界の者が――― ここ に来る」
きっと、アキラも…
少年は、さっきまで指輪があった指をまだ見ていた。
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2006年末 UP
2008 / 3 / 28 ほんの少し修正