・ 2話 : WELCOME ・・
「…。」
はギンタより先に目が覚めた。
目の前には広い野原が広がっている。 横を見ると…
「その後…」
と寝言を言っているギンタが見えた。
「…一体どんな夢見ているんだ? おい、起きろギンタ」
ギンタの顔を見ながら言う。
「その後は―――」
ギンタが少し目を開けた。
「んっ…」
「痛っ…」
は額を押さえる。
いきなりギンタが起き上がったため、ギンタの頭がの頭に勢いよくぶつかったのだ。
対するギンタは、
「あれ?メガネくもってんのか?」
全く平気の様子。
そしてギンタはメガネをとって、目の前を見ると、動かなくなった。
「ギンタ、大丈夫か?」
が手を目の前でひらひらさせても気づかない。
ギンタは景色を一回り見た後、自分の口を横に引っ張り、自分の頬を1回殴った。
「???」
それでも目の前の景色は変わらない、ということは…
「ウソだろ……イヤ!! 夢じゃねえ―――っ!!!」
「それを確かめるために あんなことやってたのか。
……………。 ギンタ――!! おいてくな―――!!!」
気づくと、ギンタは猛スピードで走っていた。 も慌ててギンタを追いかける。
「見た事もない果物!! 変な鳥!!! 赤い岩!!!
うわ――――っ!!! カメラもってくればよかったあ――――っ!!!」
「ギンタって…あんなに足速かったか? ………?」
ふと崖の上を見ると、ピンク色の髪に黒い魔女服を着た女の人がいた。
その女の人は達を見ていた。
「はっははっ ……でもおかしいな。
かれこれ30分くらい… ずーっと走り回ってたはずなのに平気だ!
いつもなら5分ももたないはずなのに。 それに…速く走れてる気がする!!!
あと! 視力が―――回復してる……!!」
「ギンタ!!」
やっとはギンタに追いついた。
「あ、! ごめん、あまりに嬉しくてつい…」
「僕を忘れていたのか。 ギンタらしいと言えば、ギンタらしいけどな…」
「あれ? 、その腕…。」
「え?」
ギンタに言われて、は自分の腕を見た。 よくわからない模様が手の甲まである。
「そんな模様、今までなかったよな?」
「…一体…何なんだろう?」
「もしもし! そこのボッチャン、オジョウチャン!」
2人が色々と考えてると、突然後ろから話しかけられた。 後ろを振り向くと、顔のついた岩が2つ。
片方は大きく髭がはえていて、小さい方は幼い顔。 どうやら親子みたいだ。
「ずいぶんとゴキゲンそうですが、何か楽しいことでもありましたかな?」
「ありましたかな―――」
子岩は、こだまのように親岩のあとに話す。
「しゃべる…岩?」
「あったあった!! ここにこれた事かな!!」
ギンタは目を輝かせながら答える。
「ほう!私達も久々に人間に会えて楽しいです。 ところでお願いがあるのですが。
今日は日差しがきつくてたまりません。 向こうの小川から水をくんできてくれませんか?」
「オッケ―――――っ!!!」
「いいですよ。」
ギンタとは水をくんできて、岩の親子にかけてあげた。
「おお―――っ。 キモチいい!!! 生き返りました! ありがたいっ」
「ありがたい―――っ」
岩の親子はとても嬉しそうに答える。
「ところでボッチャン達はどこからおいでなさった? こんな人気のないトコロに!」
「日本!! 東京ってトコだ!」
「ギンタ、ここは異世界なんだから、そう言っても通じないと思う」
「ハテ? 聞いた事ないのォ?」
「ないの―――」
親岩と子岩はお互い顔をみながら話し合う。
「ほら、やっぱり……」
「そのトウキョという所は…」
親岩が尋ねようとしたその時。
ドンッ
何かが達の後ろに落ちた。 振り向くと そこには鉄の鎧が立っている。
すると、鎧はいきなりギンタめがけて、カシャン、カシャンと音を立てながら走ってきた。
「は?」「!?」
「お逃げなさいボッチャン!!! オジョウチャン!!!」
親岩は叫ぶ。 でもギンタは。
「ボッチャン………(私達の盾に………!?)」
逃げずに手でその鎧を止めた。
「イキナリ何だお前は――っ!!!」
と言って、鎧を投げ飛ばす。
「すごい…。 その前に、ギンタってあんなに…怪力、だったか…?」
「………アレ?」
岩の親子も、やった本人のギンタも驚いていると、誰かが拍手しているのが聞こえた。
「やるじゃないボウヤ」
声のする崖の上を見ると、さっきの魔女服の人がいた。
その魔女服の人は崖から跳び降りてきた。
「あなたは…誰なんですか?」
「ドロシーよ。 はじめまして」
「ドっ…ドロシィ―――っ!?」
その女の人――ドロシーが答えると、親岩は目を大きく開き驚く。
ドロシーは無視してるのか、ただ聞こえてないのかわからないが、
「うむっ…壊れてはいないね」
と鎧に手をかざす。 するととたんに鎧は光りだし、リングになる。
「「!?」」
ギンタとは今目の前で起こった事にビックリする。
「私の持ってるガーディアンARM中、最弱とは言えお見事よ。 何 使ったの?」
鎧だった指輪を指にはめながらドロシーは言う。
「今の見た? 岩のおじさん!! ヨロイがパッて指輪に…」
「逃げなさい!! あれは……ARMです!! そしてこの女は……」
「……?」
親岩はあせっている様子。
ドロシーはギンタの目の前に来て、ギンタの体をジロジロ見る。
まるで何かを探すように…
「……あら? 変ねえ。 ARMがないわ。 そっちの子は持ってるみたいだけど…」
「…? ARMってなん…「なっ!! 今の何だ!? 今のあんたがやったのか!? 魔法!? もっかいやって! もっかい!!」
が言い終わる前に、ギンタはドロシーの肩を掴み、質問していた。
「落ち着け!」
ギンタが少し落ち着くと、ドロシーは答える。
「何言ってんの、ARMじゃない」
「アームってなんだ?!」
ギンタは知らない言葉に興味津々の様子。 もちろんもだ。
「ARMも知らないって…君達どこのイナカ者?」
「日本の東京ってトコから来た!」
手を挙げて元気良く答えるギンタ。
「聞いたコトないわね」
(だから ここでは通じないんだって)
「まあ…魔法といえばそうでしょうね。
”ARM”とは――――魔力により彫金された特殊能力を持つアクセサリーなのだから」
「アクセサリー!? 他にもいっぱいある!? 見せて見せて!!」
「………ボウヤ達……本当に知らない訳?
(確かに、この子は何も身につけていない。 素手で私のリングアーマーを投げた!?
大人だって、そんなことできないはずなのに……
こんなトコロ 歩いてるから持ってると思ったのに……期待して損しちゃったなあ)」
考え込むドロシーに、ギンタとは疑問符を浮かべている。
ドロシーが指をパチンとならす。
「ウエポンARM!”リングダガー”!!」
さっきとは違うリングが光り、ダガーになる。
「!」
「いちいち驚くな」
ドロシーはダガーをリングにもどし、
「これ欲しい?」
とギンタ達に聞く。
「くれんの?!」
「ついておいで。 そしたらアゲル」
少し歩き、振り返るドロシー。
「わかった―――っ!! 岩の親子、元気でな!!」
その言葉に、ギンタはすぐのった。 そして、ドロシーのもとへ走っていく。
「あ、ギンタ…!! それでは岩さん達、さようなら!」
はまたギンタを追いかける。
「だめですオジョウチャン達!! オジョウチャン達は私達に水をくださった!
ボッチャンは盾になって守ってくれましたっ!! ひどい目にあわせたくない!! あ……」
親岩は必死に叫ぶ。
「どしたのお父さん?」
「あれは…ドロシー…悪名高い魔女だ……」
しかし、その会話は達にはもう聞こえてなかった。
あれから少し歩き、達は遺跡らしき洞窟の前に立っている。
「やっぱりここだったわね、”バッボの封印”!! ここにとんでもないARMが眠っている!!」
ドロシーは地図を持ち、ワクワクしながら言っている。
ギンタが「なあ!」と2回目に言った時にやっと気がつく。
「何かしらボウヤ?」
「さっきのくれっ」
「ギンタ、失礼だぞ。 …!?」
ドロシーがいきなり、ギンタの頬に軽く3回キスしているのが見えた。
「もう少しまっててね」
また地図に目を戻すドロシー。
ギンタは…頭から煙が出ている。 「はーい」と言ったつもりなのだろうが、「はーひ」になっている。
「ドロシーのキスはおそろしいな…」
ドロシーはまた考えていた。
(謎に包まれたARM”バッボ”。 それを守る地に何があるかわかったモンじゃない。
ARMを持たなくてもあの力……役に立つかもネ。 ……まあ私一人でも問題ないんだけどたまには……)
「…てアリャ?」
そのドロシーの言葉に、はギンタがいなくなったことに気付く。
ドロシーが見てる方向を見ると、ギンタはバッボの封印の入り口へと走っていた。
「コラぁ―――っ!!! まってなさいって言ったよォ!!」
「だってここ洞窟だろ!? きっと宝物があるじゃん!?」
「(当たってるけど!!) 私が最初に入りたいの―――っ!!!」
「ドロシーさんも子どもですか!」
「(すっげえ!! やっぱすげえこの世界!! ワクワクが止められねえ!!
小雪! 楽しみにしてろよ!! ここでの冒険を…たくさん聞かせてやるよ!)
いよいしょお―――――っ!!!」
ギンタは入り口をふさいでいたツルをパンチで壊した。
これから彼らは、自分達の運命を更に変えるものに出会うことになる…
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・・後書き・
夢主の話す場面が少なくてごめんなさい!! でも口数は少ない…つもりで書いています(ぇ
腕の模様は…もうわわかった方がいるかと思いますが(苦笑)
次回は…バッボ登場です!
2007年 UP
2008 / 3 / 28 ほんの少し修正