「いやじゃ いやじゃ いやじゃ いやじゃ いやじゃああ―――――っ!!
 こいつのARMになるのはイヤじゃあ―――っ!!!」

「な、何よこいつ!」

外に出て、ドロシーにバッボを渡そうとすると、バッボはすごく嫌だという顔して叫び出した。

「お前からは邪悪な魔力がプンプンしとる。 さわられたくもないわ!!」

ギンタに持ち上げられ、ドロシーの顔の目の前で言う。

「私はあんたを探してはるばる…」

バッボをギンタの手から持ち上げ、言いかけた、が。 ドロシーは前に倒れ、バッボは地面にめり込む。

「ちょっとまってボウヤ!! 君こんな重いモン投げてたの!?」

「もてないなら仕方ないよな! バッボちょーだいドロシー!!」

「ちなみにワシ、大きさは変えられるが、重さは変わらんぞ――――――」

ニヤニヤと笑いながら、バッボは言い、ドロシーはそれを見ながら怒りをおさえる。

「ボウ…」

そう言いかけ、

「君…名前は?」

少年の名前を聞いていなかったことに気づく。

「バッボじゃ! それは思い出せる!」

「お前じゃないわ!!」

「ギンタ!!!」

(あ、そういえばあの時言い損ねたんだっけ…)

「ギンタ、その生意気なブサイクは君にあげよう!」

「ちょっとまたんかキサマ…紳士に向かってなんて無礼なっ!! それにワシはこいつもキライ…」

「ただし――――」

ギンタに再び持ち上げられたバッボが文句を言っているが、ドロシーは無視の様子でギンタに忠告する。

「それをもっているといろいろな奴に狙われると思う。
 生きているウェポンARMなんてレア中のレア。 みんな欲しがるはずだから」

「ホントにもらっていいのか!!?」

「いいのよ~それシュミじゃないもの。 そんなブサイク!!」

青筋を浮かべているが、ニコニコ顔で答えるドロシー。

「それに…収穫はあったしね!」

さっきのゴーレムのブレスレットを見せて嬉しそうに言う。

は少し魔力があるみたいだし、持っているARMも結構強力そうね。 能力は……」

少し間をおき、

なら、自分で見つけられると思うわ。 助けてくれてありがと」

2人に笑顔で言って、ギンタの頬にキスをする。 そのまま目が点になるギンタ。

「また会えると嬉しいよっ。 バイバイ、ギンタ、!!」

ドロシーは箒のARMを発動し、その箒に乗り、飛んでいく。
ギンタはドロシーにキスされた頬を横目で見る。

「すまねえ小雪…! …とか彼氏でもねーのにあやまってみたりして…。 でも反省」

(ギンタ、やっぱり小雪のこと、好きなんだな)

ピョーンピョーン。 二人の後ろでそんな音がする。
バッボが、今のうちに、と逃げようとしていた。

「逃げんなよバッボ―――っ!!」

ギンタはガシッとバッボを掴み捕まえる。

「気安くさわるな無礼者――――っ!! お前のARMになると決めた訳でもないのになれなれしい!!!」

そう言って、落ち着いたかと思えば、ギンタの腕のにおいをかぐ。

「おや? お前妙なニオイがするのォ。 この世界にないような…」

待ってました!、というような顔をしてギンタは答える。

「オレはギンタ! 違う世界から来たんだ! よろしくなバッボ!!」

「僕は。 ギンタと同じく違う世界から来た。 これからよろしく」

(このお譲ちゃん……どこかであった気もするのぉ…)



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・・後書き・
途中で出てきたのARM、Wind Schleife(ヴィント シュライフェ)は、ドイツ語で「風のリボン」という意味です。
名前の通り、風をあやつるネイチャーARMです。

次回もたぶん2話に分かれるかもしれません;;

2007年 UP
2008 / 3 / 28 ほんの少し修正