まだ森の中。 ギンタは仰向けに寝転がり、は木の幹に寄りかかっている。
2人はバッボと別れたのだ。
「ちぇ…さっきまであんなに楽しい気分だったのに」
しばらくしてギンタはゆっくり起き上がる。
「バッボがいなくなって、寂しいのか?」
「別にそういう訳じゃないけど!」
―――見た? さっきの盗賊、モック一味だぜ!
森のどこからか声が聞こえてくる。
―――見た見た! あいつらARMを盗んだりだましたりして手に入れるんだ!
「(盗賊?!) 誰?!」
―――今日もARM売る気だね。
―――あ! あの丸いのARMなの?
(不思議なサルだ…)
木の枝から枝へと移るサルらしき動物が何匹も見えた。 どうやら会話の声の主は彼ららしい。
―――だと思うよ! しゃべってるARMなんてめずらしいよね!
―――じゃあ高く売れるな。 どんな人が買うだろ?
―――お金持ちの貴族とか?
その1言にギンタは反応するが、
『お前といるのは嫌じゃ!!』
バッボの言葉を思い出し、そっちの方が幸せだろ!と頬を膨らます。
―――かわった生き物だから猛獣使いに売りとばすかもよっ。
―――芸をしこまれて。 火の輪くぐりとか! 獣と戦わせられるなんてどう?
話を聞き終えて百面相をしなくなったギンタは、真剣な顔。
「ギンタ、行くか?」
「あだだだだだだぁあ――っ!!! ヒゲをつかむな無礼者―――っ!!!」
「ホントに生きてるっ。 すっごいデスねモック様」
バッボはモックにヒゲをつかまれ運ばれていた。
「しっかしコレめちゃめちゃ重いなあ… 早いトコ トゥリッリ公にでも売っちまおう。」
「ワシを売る!!?」
目を見開いて驚くバッボに、チャップが話す。
「キミ、めずらしいからねえー、
トゥリッリ公なら2000万ピュ―ターくらいで買うデス。 『ARMのハクセイだーっ』ってね」
バッボは自分がハクセイになった姿を思い浮かべた。
(ハクセイなんて嫌じゃ!! ワシは…この広い世界を自由に歩きたい!!)
涙でにじむ視界。
―――よろしくなバッボ!!
―――これからよろしく。
そう言ったギンタと、の姿が浮かぶ。
「(歩みよる者をつき放すような態度しかとれんかった……!!
…バチが当たったんじゃきっと!! ワシは……大馬鹿者じゃあ!!!)
ギンタ、、助けにこんかぁ――――っ!!!」
バッボが大声で叫んだその時。
「バッボ―――っ!!!」
「「!!!」」
「オレはここだぞ!!」
後ろを振り返れば、走ってくるギンタとが見えた。
「おおお―――っ おそいわ馬鹿者―――っ!!」
「あっ!!」
バッボはうるうると涙を浮かべた笑顔で、ぴょーんとモックの手から逃れ、
ギンタは自分の元に来たバッボをキャッチする。
「あいつら盗賊じゃギンタ!!!」
「知ってる!」
「おのれっ…返せ―――っ!!!」
モックがすごい血相をして勢いよく手を伸ばしてきた、が。
ギンタに投げられたバッボが当たり、モックは一瞬の内に倒れされた。
空は暗くなり、三日月が出ている。 2人と1つはあれから再び森の中を歩き続けた。
「ん? どうしたバッボ?」
突然バッボが止まったので、ギンタはバッボに聞く。
「イヤ… 無礼だったのはワシも同じだと思ってな… 紳士としてあるまじきこと!」
下を向いて渋い顔で答え、2人の方に振り向くバッボ。
「失言を許されよ!! そしてありがとうギンタ、!!!」
「どういたしまして。」
「いやぁ―――オレも…」
「その侘びと礼を兼ねてと言っては何であるが!」
頭の後ろで腕を組み笑顔でギンタが謝ろうとすると、バッボが話を進めた。
「お前達をワシの家来として同行させることを許そう!!!
ワシが何者なのかを見つけるためのためのお供!! 喜んでよし!!!」
今までに無いキラキラの顔でバッボが言った内容に、カチンと来たギンタ。
「イヤ――――っ お前ってドロシーのARMみたいにカッコ良くないし、バカだけどさ―――
また売られそうになってビービー泣かすのもカワイソウだし、 オレが守ってやる !!!」
ギンタは笑顔だが青筋を浮かべて嫌味を言う。
バッボに青筋が浮かび、向かい合ったギンタとバッボは時間が経つごとに怒りマークが増えていく。
お互い笑顔のままで続く一瞬の沈黙。
「何が守ってやるじゃ無礼者―――っ!!! 決闘じゃあ―――っ!!!」
先に破ったのはバッボ。
「何が家来だケン玉!!! 少しはかわいいとこあると思ったのによーっ!!」
「かわいい?! ワシは渋いんじゃ―――っ!!!」
ケンカは砂埃が立つほど。
「仲がいいほどケンカする、ってやつだね」
2人のやりとりを見てクス、と笑いはつぶやく。
「あ」
いつの間にか森から出ていたらしい。
「ん?」
「お?」
の声に1人と1つはケンカをやめて、が見ている方向を見る。
「家だ…」
視線の先の低い岡に、大きな高い木と1件の家があった。
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・・後書き・
ヒロインがクール通りこしてほぼ無口に近い(汗)
原作1巻半分ちょっと終わり。 ギンタとバッボの仲が深まった話でした。
次は長い! ジャックにペタだ!(2匹の存在
2008 / 4 / 2 UP