必人と、マモルはさよならを言い、それぞれの家に帰っていく。 


「あ、そうだ! 私、またあの不思議な夢みたんだよ!
 今回ははっきり覚えてる…童話の中…メルヘンっていうのかな? にでてきそうな村に私は住んでるの。
 その世界、6年前は戦争があって…でも、戦争が終わったから、今は皆平和に暮らしているんだって!」

「やっぱり不思議な夢だよなー。 何年も、見てるんだったよな」

必人は頭の後ろで腕を組み、の話を聞く。

「でも、夢なのに匂いとか、色々感じられるの。 ……本当に異世界ってものがあるのかな?」

「あるかもしれないな!」

の方を向いて、笑顔で答える。

「もしあったら、必人は行ってみたい?」

「うーん…。 行ってはみたいけど、やっぱりここが一番だ!」

「私も、必人と同じ意見!」

話している間に、2人は自分達の家に着いた。
窓には少しひびが入っていて、壁にも所々ひびが入っている家。

「「ただいまー」」

「おかえり必人―!―!」

嬉しさに、輝く笑顔で玄関へ走ってくるのは、必人との父親、玉賀光太郎。
あるものを研究しているらしい。
父親はそのまま必人にわしっと抱きつく。

「おまえたちの帰りをどんなに待っていたかー!」

「「待ってたのはこれ だろ・でしょ」」

あきれた顔で必人はさっき頂いた札束を出す。

「ほい、今日の稼ぎ!」

「合計2万円。」

その札束を必人から受け取ると、お父さんは「うきゃきゃ」とハートを飛ばしながら、廊下で踊っている。

「「ちっとははたらけバカ親父!」」

「父さんの研究は金にならんからなー」

「「…ったく」」

必人、は靴を脱いで家にあがる。

(こんなわけで、わが家の家計は100%オレたちが支えている。
 もともと今の超視力も、見つけ屋をやっているうちに磨かれたものなのだ)

「ああ、そうだ必人、!」

お父さんが声をかける。

「ん?」「?」

「今日でおまえらも11歳だな! 父さんから誕生日プレゼントをさずけよう!」

ウィンクして、笑うお父さん。

「マジか――!?」

「必人には、ほら!」

そう言って、必人の方にに何かを投げる。

「おっ。」

必人はそれをキャッチする。

「いったいなにを……。 うっ!?」

ドクン

「どうしたの、必人!?」

「受け取れ、必人! 誕生日プレゼントにして、オレの10年の研究成果!
 ―――マグナムイフリートだ!!」

それは銃を横向きに置いたような形をしたもの。 メカの顔のようなものもついている。

(マグナム……イフリート?!)

ドクン、ドクンと鼓動がする。 必人がそれに反応しているかのように。

(なんだ?! この胸の奥がかき立てられてるみたいな感じ! これは…、これは…!!)


「オモチャじゃねーか!」

「ぐはっ?!」

お父さんの頬にマグナムイフリートを投げつける。

「こんなものを10年も研究してたなんて!」

必人は怒りながら自分の部屋に行こうとする。 も部屋に行こうとする。

「ま…、待て! これはオモチャじゃない! ビーダマンだ!」

頬の痛みをこらえながら、2人を引きとめようとする。

「「ビー……ダマン?」」





    ぱり――ん

必人はそのビーダマンというもので、ビー玉を発射させ、ガラスのコップを2つ割ってみた。

「なっ!? なっ!? すごいだろ!?」

「「んー?」」

上機嫌のお父さんに対し、必人とはなにかと不満の様子。

「(あれれ―――!?)
 と……とにかく一生懸命作ったもんだから……! お守りだと思って持ってろ!」

と泣きながら言い残し、必人の部屋から出て、自分の研究室に戻る。

「強引だな…」

「…って、家の数少ないコップ2つ割っちゃったけど…」

その後、必人とは、マグナムイフリートを観察していた。




(……必人!イフリートはおまえが持つべきもの!
 オレが命がけでつくり上げたマグナムイフリート。 おまえに託したぞ!)



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・・後書き・
この後も誕生日プレゼントをちゃんともらいます。
が最初の方で話していた話のことですが、
(MAR連載とリンクさせたいな――…なんて思ってます)
たぶん、あまり物語自体には関係無い話になるかと…;;
夢主以外のオリキャラも出てくる予定です。

2007年 UP
2008 / 3 / 28 ほんの少し修正